南九州城郭談話会についての説明は、南九州城郭談話会会報第1号に掲載された故三木会長の文章を紹介し、説明に変えさせていただきたい。


(『南九州の城郭 第1号』 南九州城郭談話会会報 平成8年(1996)年3月5日発行)

南九州城郭談話会発足に際して
三 木  靖

 この度、鹿児島、宮崎、熊本で城郭の発掘調査に従事している者の働きかけで、南九州城郭談話会が結成された。
 熊本県下益城郡松橋町の竹崎城跡(昭和49年~)、鹿児島県鹿児島市の川上城跡(50年~)、宮崎県宮崎郡清武町の清武城跡(51年)に始まる城郭の本格的発掘と、各県教育委員会による城郭跡分布調査の実施が本会結成の契機のひとつになっている。いずれも南九州に開発の波が押し寄せたための緊急調査で、この担当者も百人のオーダーに達し、じっくり取り組むだけのデータが蓄積されてきた(知覧城跡が城郭跡として平成5年国指定になった。南九州では久しぶりの快挙で、緊急調査を活かしきった発掘担当者を含む行政の積極行動のたまものである)。
 一方、城郭の縄張や歴史を主とした「日本城郭大系」20巻が昭和56年完結、同59年から全国城郭研究者セミナーが始まり、縄張調査等の手法と発掘調査の手法との切磋琢磨の場となり、南九州からの参加者が増えたことも本会結成のもうひとつの契機である。
 また、学校教科書、通史、歴史叢書、専門書も城郭を取り上げることが多くなってきた。
 もちろん、このような専門性に左右されない城郭愛好家も歴史ブームと共に増え、南九州も例外ではない。地元紙も数年に一回程度は南九州城郭シリーズを掲載している。
 今回、「城郭に関心のある方」は誰でも入れる談話会をと提案したのは、この状況を考慮したためである。例会は、創立の会合と同様、3県にまたがって実際に城郭跡を見て、その城郭に関するレポートを聞いて、それぞれの城郭を正確に知ることを目標にしたい。もちろん、情報誌を読むだけの会員も歓迎したい。
 既に、会の幟(のぼり)もできているので、さらに例会の充実、講座・講演会の開催、勉強会・研修会・研究部会の設置、機関誌の刊行、城郭分布図・辞典・写真集の作成、城郭サロンの開設、国内外城郭跡の探訪、城郭関係者との交流等々をしたいと夢は膨らむが、まずは会員の意向のもと、南九州の城を楽しみながらたくさんの城と出会う場として継続発展させたいと考えている。